建設業許可の要件チェック
● 建設業許可要件の確認
まず、建設業建設業許可が必要かどうか、28種類の建設業の内どの建設業許可が必要か、知事建設業許可か大臣建設業許可か、一般か特別か、などを決定します。
建設業許可要件の確認
建設業建設業許可を受けるために必要な以下の要件を満たしているかどうかを確認します。
● 経営業務管理責任者がいるか?
経営業務の管理責任者とは
法人の場合 「常勤の役員」「営業所長」など、
個人の場合 「事業主本人」「支配人登記をした営業所支配人」など、
が該当し、「経営業務を総合的に管理、執行した経験を持つ者」であることが必要です。
管理責任者の要件(経営業務の経験)は、建設業許可を受ける際に最も注意が必要な部分ですですので、十分な確認が必要です。
「全ての業種」について管理責任者になることができる要件
建設業許可を受けようとする建設業、又はその他の建設業の業種について7年以上経営業務を総合的に管理・執行した経験がある。
「経験のある業種」について管理責任者になることができる要件
- 1.建設業許可を受けようとする業種について5年以上7年未満の総合的管理・執行の経験がある
- 2.建設業許可を受けようとする業種について7年以上経営業務を補佐した経験がある
● 専任技術者がいるか?
専任の技術者が営業所ごとにいることが必要です。
「専任の技術者」とは、工事についての一定の資格や経験を持つ者で、その営業所に常勤して業務に従事する者を指します
専任の技術者である為には「一般」「特定」それぞれに以下の要件に該当しなければなりません。専任性が認められる場合には、いわゆる出向社員であっても専任の技術者として取り扱います。
「一般」の場合の専任技術者の要件
以下の①~③のどれかの要件を満たしていることが必要です。
- 1.大学(高等専門学校・旧専門学校含む)指定学科を卒業後、建設業許可を受けようとする業種について「3年以上」、もしくは高校(旧実業高校含む)の指定学科を卒業後建設業許可を受けようとする業種について「5年以上」の実務経験を有する者
- 2.学歴・資格の有無を問わず建設業許可を受けようとする業種について10年以上の実務経験を有する者
- 3.建設業許可を受けようとする業種について一定の資格を有する者
その他国土交通大臣が個別に認めた者(別頁「選任技術者一覧表」参照)
「特定」の場合の専任技術者の要件
- 1.建設業許可を受けようとする業種に関して、国土交通大臣が定めた試験に合格した者、又は国土交通大臣が定めた免許を受けた者
- 2.「一般」の専任技術者の要件に該当し、かつ元請として4,500万円以上の工事について2年以上指導監督的な実務経験を有している者
- 3.国土交通大臣が①②に掲げる者と同等以上の能力を有すると認めた者
- 4.指定建設業(土木工事業、建築工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、電気工事業、造園工事業)については①または③に該当するものであることが必要です
「実務経験」とは
建設工事の施工を指揮・監督した経験、建設工事の施工に実際に携わった経験のことを言います。また、請負人の立場における経験だけではなく、注文者側の立場において設計等に従事した経験、現場監督技術者としての経験も含まれます。
「指導監督的な実務経験」とは
建設工事の設計・施工の全般において、工事現場主任・工事現場監督等として工事の技術面を総合的に指導した経験を言います。
兼任の禁止
専任の技術者は一つの事業所、一つの業種についてのみ業務することができます。
他の事業所の専任技術者を兼ねることはできませんし、2種類以上の専任の技術者になることもできません。
なお、「住所が、勤務を要する営業所の所在地から著しく遠距離にあり、常識上通勤不可能な者」、「他に個人営業を行っている者」、他の法人の常勤役員である者等他の営業等について専任に近い状態にあると認められる者」、給与の額が最低賃金法に基づく大阪府の地域別最低賃金を下回る者」等も、専任性が認められません。
専任性の確認は、上記に揚げた要件に該当することが基本となりますが、それにぴたりと該当しない方が専任技術者の候補となるケースが多くありますので、そういった場合は、専任性を満たすためのその他の経験やスキルを持っているか、など、個別的に、慎重に確認する必要があります。
● 請負契約における誠実性があるか?
建設業を営もうとする者は、請負契約に関して、不正・不誠実な行為をするおそれがないことが必要です。具体的には、詐欺、脅迫、横領などの法律に違反する行為、工事内容、工期などについて請負契約に違反する行為が無いことを指します。
建設業許可を受けようとする者が
法人の場合 : 「その法人」「役員」「支店や営業所の代表者」
個人の場合 : 「事業主」「支配人」
が不正・不誠実な行為をする恐れがないことが必要となります。
● 財産的基礎の要件を満たしているか?
契約を履行するに足る、十分な財産的基礎または金銭的信用を有していることが必要とされます。
・一般建設業許可の場合以下のいずれかの要件が必要となります。
- 1.純資産額が500万円以上あること
純資産とは、貸借対照表「純資産の部の純資産合計」の額です。
会社設立と同時に建設業許可を受ける場合、資本金が500万円以上あれば要件を満たします
- 2.500万円以上の資金調達能力があること
会社の預金がある、担保とすべき不動産を有しているなどで、500万円以上の資金の融資を受けられるかどうかが判断されます。預金残高証明書、固定資産税納税証明書、不動産登記簿謄本などが必要となります
- 3.その他、建設業許可申請前の5年間、継続して建設業許可を受けて営業していた実績があること
・特定建設業許可の場合以下の1~4、全ての要件が必要となります。
- 1.欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
法人の場合 : (繰越欠損金-法定準備金-任意積立金)÷資本金が20%以上
個人の場合 : (事業主損失+事業主借り-事業主貸し)÷期首資本金 が20%以上
- 2.流動比率が75%以上あること
法人・個人ともに:流動資産合計÷流動負債合計 が75%以上
- 3.資本金が2,000万円以上あること
株式会社 → 払込資本金
有限会社 → 資本の総額
合名・合資・合同会社 → 出資金額
個人 → 期首資本金
- 4.純資産の額が4,000万円以上あること
● 欠格要件に該当しないか?
法人にあってはその「法人・役員」、個人にあっては「事業主、その他支店長、営業所長」が、下記に掲げるような欠格要件に該当するときは、建設業許可は受けられません。
- 1.成年被後見人・被保佐人又は破産者で復権を得ない者
- 2.不正の行為により建設業の許可を取り消されて5年を経過しない方
- 3.不正の行為により建設業の許可の手続きが開始された後、許可の取り消しを免れるために、廃業届を提出した方で、提出した日から5年を経過しない方
- 4.建設業の営業の停止を命じられ、その停止の期間が経過しない方
(法人、個人事業主のみ該当)
- 5.許可を受ける業種の建設業について営業を禁止されており、その期間が経過しない方
- 6.次に掲げる方で、その刑の執行が終り、又は刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない方
- ・禁固以上の刑に処せられた方
- ・建設業法に違反して罰金以上の刑に処せられた方
- ・建築基準法、宅地造成等規正法、労働基準法、職業安定法及び労働者派遣法のうち政令で定めるものに違反して罰金以上の刑に処せられた方
- ・暴力団による不当な行為の防止等に関する法律に違反したことにより、又は刑法や暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金刑に処せられた方
- 7.建設業許可申請書又はその添付書類の中に重要な事項について虚偽の記載があり、又は重要な事実の記載が欠けているとき